老猫が水をよく飲む…病気のサイン?多飲多尿の原因と受診の目安
公開:2026-07-02
愛猫がいつもより水をよく飲んでいる——そんなことに気づいたとき、「年だから仕方ない?」と様子を見てしまう飼い主さんは少なくありません。しかし、老猫における飲水量の増加は、重大な病気の早期サインであることが多く、放置すると病状が一気に進行するケースもあります。
この記事では、老猫が水をたくさん飲む理由として考えられる代表的な疾患と、動物病院を受診すべきタイミングをわかりやすくお伝えします。
「たくさん飲む」の基準はどのくらい?
まず、猫の正常な飲水量を把握しましょう。健康な成猫の飲水量の目安は体重1kgあたり約40〜60ml/日とされています。体重4kgの猫であれば、1日あたり160〜240ml程度が正常範囲です。
ドライフードのみを食べている猫はやや多め、ウェットフードを多く食べている猫はやや少なめになる傾向がありますが、明らかにお水の減りが早くなった・トイレの回数や尿の量が増えたと感じたら、それは「多飲多尿」のサインかもしれません。
老猫(おおむね7歳以上)では特に注意が必要です。
老猫の多飲多尿が示す代表的な病気
1. 慢性腎臓病(慢性腎不全)
老猫における多飲多尿の原因として最も多いのが慢性腎臓病です。猫は腎臓病になりやすい動物で、10歳以上の猫の約30〜40%が何らかの腎臓病を抱えているという報告もあります。
腎臓の機能が低下すると、尿を濃縮する力が弱まります。薄い尿が大量に出るため、それを補おうとして水をたくさん飲むようになります。
主な症状:
- 水をよく飲む・尿の量が増える
- 体重減少・筋肉の落ち
- 食欲不振・嘔吐
- 毛並みの悪化・元気のなさ
慢性腎臓病は進行性の病気ですが、早期発見・早期治療によって進行を大幅に遅らせることができます。定期的な血液検査・尿検査が重要です。
2. 糖尿病
猫の糖尿病は、インスリンの産生不足または作用不足により血糖値が慢性的に高くなる病気です。中高齢の肥満猫に多く見られます。
血糖値が高くなると、余分な糖分が尿に排泄されるとともに大量の水分も失われるため、強い口渇が生じます。
主な症状:
- 急激な多飲多尿
- 食欲は旺盛なのに体重が減る
- 後ろ足のふらつき・かかとをつけて歩く(糖尿病性神経障害)
- 毛並みの悪化
糖尿病はインスリン療法や食事療法によってコントロールできますが、放置すると糖尿病性ケトアシドーシスという命に関わる状態に陥ることもあります。
3. 甲状腺機能亢進症
甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが過剰に分泌される病気で、10歳以上の老猫に非常に多く見られます。甲状腺に良性の腫瘍(腺腫)ができることで起こるケースがほとんどです。
甲状腺ホルモンが増えると全身の代謝が過剰に活性化され、腎臓の血流量も増加するため、結果として尿量・飲水量が増えます。
主な症状:
- 食欲旺盛なのに体重が減る
- 多飲多尿
- 活動性の亢進・落ち着きのなさ
- 嘔吐・下痢
- 心拍数の増加(心雑音)
甲状腺機能亢進症は薬物療法・外科手術・放射線ヨード療法などで治療可能です。また、この病気が腎臓病を隠してしまうことがあるため、治療後に腎臓病が顕在化するケースもあり、専門的な管理が必要です。
4. その他に考えられる原因
上記3疾患が代表的ですが、以下の原因も多飲多尿を引き起こすことがあります。
- 子宮蓄膿症(未避妊のメス猫)
- 高カルシウム血症(腫瘍など)
- 肝臓病
- 副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)※猫では比較的まれ
- 特定の薬の副作用(ステロイドなど)
こんな症状が重なったらすぐ受診を
多飲多尿に加えて以下の症状が見られる場合は、できるだけ早く動物病院を受診してください。
- 食欲がない・まったく食べない
- 嘔吐が続いている
- ぐったりしている・立てない
- 呼吸が荒い・口を開けて呼吸している
- 尿が出ていない(または極端に少ない)
特に「尿が出ない」状態は尿路閉塞の可能性があり、数時間以内に命に関わる緊急事態です。夜間でも救急病院へ向かってください。
受診の目安チェックリスト
以下の項目に1つでも当てはまる場合は、数日以内に動物病院を受診することを強くおすすめします。
よくある質問
動物病院では何を調べる?
多飲多尿を主訴として受診した場合、一般的に以下の検査が行われます。
| 検査項目 | わかること | |---|---| | 血液検査 | 腎機能(BUN・クレアチニン・SDMA)、血糖値、甲状腺ホルモン値など | | 尿検査 | 尿比重(尿の濃さ)、糖・タンパクの有無 | | 血圧測定 | 腎臓病・甲状腺機能亢進症では高血圧を伴うことが多い | | 超音波検査 | 腎臓・肝臓・膀胱などの形態確認 |
これらを組み合わせることで、原因疾患を特定し、適切な治療方針を立てることができます。
まとめ:老猫の飲水量増加は「要観察」ではなく「要受診」
老猫が水をよく飲むようになるのは、「老化の一部」ではありません。腎臓病・糖尿病・甲状腺機能亢進症など、治療によって進行を抑えたり、QOLを大きく改善できる病気が背景にある可能性が高いです。
気づいたときが最も早いタイミングです。「まだ元気そうだから」と様子を見すぎず、気になる変化があれば早めに動物病院へ相談しましょう。愛猫との時間を少しでも長く、健やかに過ごすために、定期的な健康チェックと飼い主さんの観察眼が何より大切です。
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